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出前授業

つどい薬局

2026/01/18

昨年に引き続き、麻生専門学校介護福祉科にて「薬剤師との関わり」についてお話しさせていただきました。
今回は、特に①薬剤師の役割(高齢者の薬物治療・多剤併用のリスク)と、②介護福祉士との連携の重要性についてお伝えしました。


① 高齢者の薬物治療と薬剤師の役割

高齢者は、加齢に伴い腎機能や肝機能が低下し、若い頃と同じ量の薬でも体に溜まりやすくなります。また、複数の病気を抱え、いくつもの医療機関から薬が処方されることで、いわゆる「多剤併用(ポリファーマシー)」の状態になりやすいという特徴があります。

多剤併用は、
・ふらつきや転倒
・強い眠気やせん妄(急な混乱やおかしな言動)
・食欲低下、便秘、口渇
などのリスクを高めます。こうしたトラブルの背景に「薬」が隠れていることは少なくありません。

そこで薬剤師は、処方された薬の一覧を確認し、
・同じような効果の薬が重なっていないか
・飲み合わせによる相互作用がないか
・年齢や腎機能に対して量が適切か
といった点をチェックします。さらに、「錠剤が大きくて飲めない」「回数が多くて守れない」といった生活面も含めてアセスメントし、その結果をもとに医師へ減薬や変更の提案を行うことも重要な役割です。


② 介護福祉士との連携の重要性

一方で、介護の現場で利用者さんと一番長い時間を過ごしているのは、介護福祉士をはじめとした介護スタッフの皆さんです。
日々のケアを通して、

・食事量や水分摂取量の変化
・便秘や下痢、排尿回数の変化
・以前より眠そうになった、ぼんやりしている
・転倒やふらつきが増えた

といった細かな変化に、介護職の方々が最初に気づくことが多くあります。これらは、薬の副作用や量の過多を疑ううえで非常に重要なサインです。

薬剤師は、介護福祉士からこうした観察情報を共有してもらうことで、
「いつから」「どのくらい」「どの時間帯に」「どんな様子で」変化が出ているのかを把握できます。そこから、
・服薬回数や時間帯の調整
・一包化や服薬カレンダーの導入
・剤形変更(錠剤から散剤やシロップなどへ)
といった具体的な改善策を検討し、医師や看護師も含めた多職種チームで、より安全で続けやすい薬物治療の形を整えていきます。

つまり、高齢者の薬物療法を安全に進めるには、薬剤師だけでも、介護福祉士だけでも不十分であり、双方が互いの専門性を生かし合う「連携」が不可欠です。


おわりに ― 外国籍スタッフとの連携に向けて

今回お話ししたクラスは、24人の学生さんのうち、日本人が10名、ネパール人が7名、中国人が5名という構成で、外国籍の学生さんが半数以上を占めていました。
つどい薬局が現在連携している施設のスタッフさんの中にもネパールの方がいらっしゃいますが、今後ますます、介護や医療の現場で外国籍の方と一緒に働く機会は増えていくと感じています。

多職種連携に加え、多文化・多言語の中での連携が求められる時代において、避けて通れないのが「言葉の壁」です。
薬の説明や体調変化の共有といった、正確さが求められるコミュニケーションにおいて、言語の違いは大きなハードルになり得ます。

だからこそ、薬局側にも、
・日本語が十分でないスタッフとも情報を共有しやすい工夫
・図やピクトグラム、簡潔な日本語・英語表現の活用
・オンラインツールなどを用いたコミュニケーション支援

といった、「連携しやすい仕組みづくり」が今後ますます求められていくと考えています。

薬剤師として、そして地域の薬局として、ことばや文化の違いを乗り越えながら、誰もが安心して医療・介護を受けられる環境づくりに、今後も取り組んでいきたいと思います。